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感想文
【疾走 上・下 】/重松清
なんていう話なんだろう。
兄弟、両親、ヤクザ、神父、クラスメイト、シュウジは「ひとり」だった。
エリも「ひとり」
孤独。
孤立。
孤高。
孤高な「ひとり」だったエリ。
孤独な「ひとり」から孤高な「ひとり」になりたいと望むシュウジ。
引きこもり、家庭内暴力、放火、借金、一家離散。
故郷を後にしたシュウジは疾走し続ける。
走り続けることしか出来なかった。
セックス、犯罪、上京、再会、……。
下巻に入ると衝撃的という言葉では足りないほど、怒濤の展開にページを捲る指が止まらなくなる。
シュウジと一緒に読者も疾走する。
読み終えた後の、喪失感のような陰鬱な圧力が圧し掛かった。
面白いというには言葉が足りない。
それでも読んで良かったと言える作品だった。

さて、これが映画化されるわけだ。
PG-12ということはなんとなく制限される部分がわかる。
でも制限されるとシュウジの犯行を決意部分や、感情の流れが表現できるのか不安になる。
見てみたいような、見るのが怖いような。
そんな作品がまた一つ存在する。


【GOTH -夜の章-、-僕の章-】/乙一
主人公の僕と森野夜、二人はある共通点から会話を交わすようになる。
数々の事件が二人に絡んでくる。
-夜の章-
「記憶」が良かった。
森野夜の過去の話し。
これを読んで森野夜が好きになった。
-僕の章-
上巻にあたる-夜の章-の淡々とゆっくり展開していく話しに比べて、下巻にあたるこちらの章は展開が早く感じられる。
そしてどの作品も集中させてくれてのめり込むように読んだ。
中でも本格ミステリ大賞を受賞した「リストカット事件」は上下巻の中で一番犯行の内容が気味悪かった。
「土」や「声」も展開の裏切られ方が面白かった。
これ、シリーズ化したら面白いのにな…。
by kirituma0518 | 2005-08-12 23:44 | 雑記
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